青崎有吾『図書館の殺人』
今回も論理展開は面白かったんだけど、たださすがにパワーダウンという印象は否めない。個人的な好みの問題かもしれないけれど、ううーん、動機というか心理面での補足があったほうがいいんじゃないか。そういうのをあとで付け足したところで論理展開がそこなわれるわけじゃないのだし、と思ったりした。
それに、警察が裏染に捜査を依頼するといった展開や、柚乃が事件に関わる過程などはさすがに雑すぎるのでは……という感は少しある。キャラは増えて、裏染の設定などキャラものとしての展開を考えているのかな。
読んでいて「あれ」と思ったのは、作中世界がまだ2012年ぽいあたり。第1作の『体育館の殺人』が2012年という設定で、主要登場人物が高校生である関係で作中時間をあまり動かせないからだろうが、さすがにいかんともしがたくなってきていないか。ことにキャラ設定の都合上、作中にふんだんに出てくるヲタネタがだんだん鮮度を落としてしまっているあたりのつらさは、まだ感じないけれども予兆はある。あまり長引かせると少し悲惨なことになりかねないんじゃないかなぁ。
個人的には前2作はわりと楽しめたけど、今回はまあそこまででも。