アメリカの囲碁

ちょうどたまたま会社のski tripがあったので、僕はTahoeのホテルにいた。

ざっくりski tripと呼ばれていたけれどもスキーだけをするわけじゃなくて、ホテルの一室が解放されて、皆がゲームを持ち込んだりしていて遊ぶ部屋になっていたのだけど、囲碁を持ち込んでいる人がいて、軽く遊んだりして(僕はまあ7-8級程度なので教えてもらう立場ですが)、そこでAlphaGoの話が出てきた。今日初戦ですよ、ということで、じゃあみんなでみようよ、ということになった。

残念ながら大きなモニタもないし、ホテルのWiFiは腐っているので、携帯電話の小さい画面でみんなで視聴した。碁盤があるので、試合が進むごとにそこに碁石を並べる方式にした。他にもゲームをやってるグループが多数いるので、騒音で解説は全く聞き取れなかったが、その場にいる人たちとあれこれ話し合いながら見るのはかなり楽しいものだった。

それにしても、意外と囲碁人口って多いんだな、と改めて実感したものである。

もちろん中国系や韓国系、私のような日系の人々もいるけれど、そういう東アジアの人々以外のプレイヤーもかなりいる。集中して観戦していたのは私を含めて5-6人といったところ、周辺全部を足すと10人以上は見ていたか。だが東アジアの人々の割合は半分くらいだったろうか。また観戦する中で一番強い人は白人の人だった。

囲碁は確かにルールもシンプルだし東アジア特有のものというのもない。やりたい、という人がいればできない理由はどこにもない。それにしてもと思うのだった。もちろんエンジニアみたいな職種であるとか技術系の会社であるといった理由から、こういう変なゲームも嗜んでいる人というのが多いというのはあるわけで、全米で平均的にそこまで普及しているなどというのは幻想ではあるけれども、にしてもここまでかー、などと思ったりした(ちなみに日本人の同僚が将棋セットを持ち込んでいたけれども、こちらはあまり興味を示されていなかったようである)。

もう一つ面白いと思ったのは、囲碁用語だ。囲碁というのは中国が発祥なわけだけれども、英語圏における囲碁の用語はかなり日本由来である。コミ(komi)やコウ(ko)、定石(joseki)のような用語もそうだし、情勢について語られる用語であるコスミ(kosumi)、カカリ(kakari)、見合い(miai)、先手と後手(sente、gote)などの単語も全部日本語由来だった。一部訳されている語もあって目はeyesだし、受けに相当する語がanswerだということは今回初めて知ったけれども、まあともあれ、全般的には日本語由来がめちゃくちゃ多い。正直、解説を聞いていてもそこだけでちょっと面白い。

英語版の公式ストリーミングで解説していたのがマイケル・レドモンドというカリフォルニア出身ながら日本でプロ棋士になった人だから、かというとそうでもなく、わりと一般的に囲碁用語は日本語由来のものが多いようだ。どうも英語圏に囲碁が伝来した過程が透けて見えるようで面白い。

アメリカの囲碁” への1件のフィードバック

  1. レドモンドさんの記事で、こちらが面白かったです。http://www.nikkeibp.co.jp/style/biz/cover/foreigner/080401_igo1/index.html

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