スプラトゥーンの英語、あるいはローカリゼーションの問題

私は北米在住なので、WiiUも北米版だしスプラトゥーンも英語版をやってる(日本語設定ができないので……)。そういう状況なので、英語版の単語に慣れているが、英語版は日本語版からチョクに単語を置き換えているのではなくて、そこそこ文脈に沿っていろんな訳が作られている。

これってけっこう面白いし、翻訳(ローカリゼーション)とはこうしたものなのだなぁと思ったりもする次第。

たとえば、Inkopolis News(ハイカラニュース)ではSquid Sisters(シオカラーズ)はけっこう違うことをしゃべる。動画を撮ってみたのでこちらをどうぞ。

ブキなどの名称もけっこう違う。対訳表のスプレッドシートがあるので、こちらも興味があったら見てみて欲しい。

面白いなと思うあたりを個人的にピックアップするとーー

ガロンはgalなのでデコってる

.52ガロン、.96ガロンはそれぞれ.52 gal、.96 galという名称になっている。galはガロンの略記法だけど、「ギャル」と読んでそういう意味になることもある。こいつらのブキがデコってるのはその辺から来てるんじゃないかなぁと思っていて、英語版のほうがストレートな気がする(『イカすアートブック』でも「.52ガロンは「ゴツギャル」と呼ばれている」という設定が明らかにされてましたね)。

ノヴァブラスター→Luna Blaster

なぜそこを変えたし、と気になる訳。Nova Blasterでも全然問題ないと思うけどなぁ。よくわからない。どっちが英語版だったのかときどきわからなくなる。

○○コラボはブランド名称に

たとえばスプラシューターコラボはTentatek Splattershot。Tentatekはアロメに相当するブランドの名前で、コラボしたブランド名を冠するブキになっている。同じようにロラコラはKrak-On Splatroller、プライムシューターコラボ→Forge Splattershot Pro、スプラスピナーコラボ→Zink Mini Splatlingとなっている。

スピナー→Splatling

スピナー類はSplatlingという名前になっている。Splatとガトリング(Gatling)を混ぜた造語だと思うけどちょっとかっこいいなと思っていてこれは英語版のほうが良いと思っている。バレルスピナー→Heavy Splatling、スプラスピナー→Mini Splatling、ハイドラント→Hydra Splating。

シールドはWall

サブだとポイズンボール→Disruptorというのがかっこいいと思う。面白いところではスプラッシュシールドはSplash Wall。Splash Shieldでも良い気もするけれど、様態としては壁だしなぁ。

Inkzookaのかっこよさ

スーパーショットっていう名称はダサいと思うけどInkzookaはかっこいいなと思っている。トルネードよりもInkstrikeのほうがかっこいい気もするし、スーパーセンサーよりもEcholocationのほうがいい。メガホンレーザーに対応するKiller Wailはかっこいいけど意味がよくわからない。ダイオウイカはKrakenなのは意味的には大差ないけど、おかげで僕はよくダイオウイカのことをクラーケンと呼んでます。

ホッケ埠頭とマサバ海峡大橋

ホッケ埠頭はPort Mackerel。Mackerelというのはサバのことなんだけど、もう少し言えばああいう白身魚はわりとMackerelで、ホッケもMackerelの一種だからわりと的確な訳だなぁと思っていた。が、マサバ海峡大橋が出てきてしまって翻訳チームも困惑したんじゃないだろうか。けっきょくマサバのほうはHammerhead Bridgeという全然違う魚が割り当てられている。今後シュモクザメに関係するステージが出てこないことを祈りたい。

BバスパークとBlackbelly Skate

BバスパークはBlackbelly Skateparkという名前がついている。実はしばらくずっとBlackberryなんだと勘違いしており「なぜこれだけ果物なんだろう?」と気になっていたが、実はBlackbelly Skateまでが魚の名前で(エイの一種)、その名を冠している(bellyは腹という意味)。ブラックバスでも良かったと思うけど、Skateparkという名称のうまさがあったのでつい使ってしまったのだろうなぁと想像している。

ランクはLevelでウデマエはRank

これも正直いってなんで変えちゃったのかよくわからないけれど、「ランク」に相当するものはLevel(レベル)。Rankといえば「ウデマエ」に相当する単語になっている。どうしてそこ変えたんだ!という気分になる。Vibe(チョーシメーター)はChill→Toasty→Smokin’→So HAWT!と熱せられていく(hawtはhot、つまり熱いという意味のスラング)。

日本向けのスプラトゥーンに関して小粋なデザインがある場合、英語が配されていることがままあるわけだけれども、その英語が気になることがけっこうある。とくに公式だと「うーん」となる面はある。とくに『スプラトゥーン イカすアートブック』は全体的に作中のカタカナ語をそのまま英語化したものが多くて気になった。

とはいえ、日本向けにおいてどっちがわかりやすいかといえば、そりゃあ作中のカタカナをそのまま英語表記にしたものであろう、というのはとてもわかるので、英語版の内容を常に参照せよ、ということを言いたいわけでもない。

でもそこ実は違うんだよね、表記をそのままアルファベットにすればローカリゼーションなわけじゃないんだよね、ということにも、時には思いを馳せて欲しいなと思うのだった。

ところでついでに撮ったInkopolis(ハイカラシティ)の風景なんですがーー

おおむねいい感じだと思うんですが、Spyke(ダウニー)のキャラは日本版を見てショックを受けました。こっちだとBritishな言葉づかいでダウナー系のちょっと怖い雰囲気なのに、日本語版だとなんかノリ軽くない? それだけでけっこう雰囲気かわるんだよなぁと思ったりもするのだった。