月: 2023年8月

アイスランド旅行: 火山・滝・間欠泉

さて、前回も書いたけどアイスランド観光のメインは自然である。アイスランドは火山島で、けっこうたくさん火山があり、氷河もあったり、自然の景観の見どころはおおい。おおいというかメインの観光スポットは断然そっち。たいていの観光地はツアーが組まれているようなのでそれに参加してもいいし、レンタカーを借りて自分で巡ってもいい。それ以外の巡り方もある(後述)。今回はレンタカーを借りていたので、自分で巡ることにした。といってもあくまでも日帰り旅行の範囲内でだけど。

アイスランドのこうした有名な景勝地のうちとくに有名で、しかもレイキャビクから近くて日帰りしやすい場所が複数あり、これらはまとめてゴールデンサークルと呼ばれている。

Þingvellir national park (シングヴェトリル国立公園)

Þingvellirの最初の文字は英語のthの音を意味する文字で、昔の英語にもあったが廃れてしまった字だ(thornという)。アイスランドにはまだ残されており、頻繁に目にする。どういうわけかlの前にはtの音が入ることが多いようでÞingvellirをカタカナ表記すると「シングヴェトリル」といったところになる。比較的広めの国立公園である。いったんインフォメーションセンターみたいなところまで行ったところではてどこに行ったものかわからなくなり、検索して手近な景勝地であるÖxarárfossという滝と、Langistígurという崖のあいまを抜けてその上まで行く道を歩いてみた。ゴツゴツした岩肌でカッコいい。

Brúarfoss (ブルーアルフォス)

川の中央部分が落ち窪んで崖のようになっており、そこに川水が流れこんで一部だけ水色になっている場所。どうしてこんなふうになるのか、ものすごい奇観。水色がとても綺麗。おもしろい。

日本語の紹介ページでは「私有地のため通行止めになり行けなくなった」という情報があるが、行けます。もともとホテルというか別荘地?のような私有地を抜けて到達するルートがメジャーだったが、迷惑だったのかそこは通行止めになってしまっている。が、3kmほど手前から行く別の道があり、新しく独自の(有料の)専用駐車場が用意されるようになって何のおとがめもなく行ける。Google Mapsのナビだと旧来の私有地ルートを案内されて行けないじゃん、となることもあるので注意。看板等で案内されているので、ナビで行き止まっても看板を思い出して案内通りに辿っていけば到着できると思う(というか、私はそのようにして行った)。

Geysir (ゲイシール)

間欠泉。10分ていどに一度吹き上がってエンタメ度が高い。ほかの場所よりあきらかに観光客が多く、みんなで待っていて謎の一体感もある。近隣にはたくさん間欠泉や温泉が湧き出ている。英語の geyser (ガイザー)の語源らしい。

Gullfoss (グトルフォス)

滝。水量がものすごい。二段になっており、下段の落差がすごい。ご覧のとおり行ったときには滝の水滴で虹が出ていた。かなり近くまで行けるが滝の水でびしょぬれになる。写真ではなかなか伝えづらいが迫力がすごかった。下段はかなり高さがあり、水量も多いので、ウィキペディアに書かれているように水力発電所になるという計画も理解できる(が、成立しなかったおかげで観光地として成立している)。

Kerið (ケリズ)

火山跡のカルデラ湖。ゴールデンサークルのなかではÞingvellir、Geysir、Gullfossの3つがメイン観光地とされていてそれ以外は「控え」みたいな扱いなようで、Keriðは少し地味かと思った。しかし、火山の火口が絵に描いたようにくぼんでおり面白い風景なのも確か。ちなみに最後の文字のðもÞと同じく古英語にはあった文字でethといい、やはりthの音を意味する。Þが無音のth (thinなどのth)であるのに対してðは有音のth (thisなどのth)であると説明される(厳密には、古英語ではそこまではっきりとそのように使い分けられていたわけではない、という話も聞いたことがある。が、いずれにせよ現代アイスランド語ではそのように使いわけられている)。

おまけ: Efstidalur II

ゴールデンサークルの経路上にある酪農兼レストラン兼アイスクリーム屋さん。アイスクリームを食べるスペースのすぐ脇に(ガラス越しだが)納屋があり、牛がのんびり草を食べていたりする。よくわからない組み合わせだが面白い。牛はさすがに一般客は近寄れないようになっていました。アイスクリームはミルクの味が濃くて美味しかった。

Urriðafoss

ここからはゴールデンサークル外の場所。別の日に行った。これも滝。落差はそれほどでもないが、川幅が広くて水量が多く、行ってみるとなかなか迫力がある。実はアイスランドで一番水量の多い滝はGullfossではなくこっちらしい。意外だけど水量というのは主に川幅の話だからかな。アイスランドで一番多いだけではなくヨーロッパでも二位だとウィキペディアには書いてあるな(ヨーロッパ一位はライン滝らしい)。なんかそう言われると有難味もあるが、正直そこまでピンと来ないかな……。割と地味な場所にあり、観光客はそれほどいなくて快適だった。

Seljalandsfoss

滝の裏側が大きくえぐれていて裏側を通っていける滝。ここは観光客でにぎわっていて、実際には裏側まで行ける道はけっこうな行列になっている。でも楽しいし風景として面白い。そこまで濡れないと思っていたが、通路の出口付近が支流の小さな滝をそのままくぐる経路に(私が行ったときは)なっていてびしょ濡れになった。子供はちょっと嫌そうだったが親としては楽しい。行く価値あります。

Gljúfrafoss

ひとつ前のSeljalandsfossから歩いてすぐのところにある別の滝。岩に隠れて見えない……かと思いきや、割れ目のような隙間を抜けていくと滝を拝める。けっこう危険なので、ここは子供はやめることにして親が交代で見にいくことにした。ゼルダだと祠があるんだろうなぁというこの景観よ。通り抜ける道は川沿いに転がる石の上を渡っていく感じで、行き来する人も多くてけっこう難儀するが面白い。みんな自撮りしてた。私もした。アップロードはしないけど。

とまぁこんな感じで、首都近くの観光スポットだけだし、その範囲でも別に全然網羅できてないけれど、楽しかったし面白い風景ばかりでアイスランド楽しいなーという気持ちになりました。


そうだ思い出した。先述したように、私は基本的にレンタカーで自分で運転してこういう箇所を巡っていた。そういう人が一番の多数派だったと思うけど、ほかにもいろんな人たちがいた。まずツアーバス。こういう観光地は(とくにメジャーなところでは)駐車場にも観光バス向けのスポットなどがあり、ツアー客が多くいた。なかには非常にゴツいタイヤのツアーバスもあり、どうやら私たちが行ったような場所からさらに先の山に入っていって氷河とかも見たりするようなツアーもあるようだった。

それと別にいろいろ見かけたのは自転車の人たち。かなりいっぱいいた。しかもそこそこの割合でけっこうな荷物を自転車に載せている人を見かけた。どれぐらいのスケジュールなのかは知らないが自転車旅行ということなんだろう。そういう趣味の人にはいいのかもしれない。どういうルートなんでしょうね。島全体を一周するのはすごい大変だろうが、ゴールデンサークルあたりをぐるっと巡るんだろうか。

あと見かけたのがヒッチハイカー。家族旅行だったのでピックアップしたり話したりすることはなかったが、わりとたくさん見かけたが何だか新鮮で見かけるたびに「おおっ」と思ったりした。

アイスランド旅行: レイキャビク市内観光

アイスランドは最近ずいぶん観光をアピールしているみたいだけど、主な観光資源は自然で、火山とかすごい形の岩とか山とか滝とかそんなものが多い。ただ今回は比較的小さな子供を連れているということもあり、あまり無茶な旅行はできない。レイキャビク市内に宿泊し、市内もけっこういろいろ巡ってみた。

ひとつ前の投稿でも書いたけど、アイスランド全体の人口30万人のうち、約20万人がレイキャビク都市圏に住んでいるらしい。といっても人口20万人の街ということで、そこまで巨大な都市という感じでもない。中心となるダウンタウンみたいな場所はそこまで広くなく、そこを中心に住宅地が広がっている感じ。ダウンタウンも、観光客向けのところと現地住人向けのところがけっこう入り混じっている感じでなかなかよかった。

市内の移動は近所なら徒歩、あとはバス。アイスランドには鉄道はない(遊園地とかにはあるかもしれないけど、公共交通機関としては)が、レイキャビク市内にはバスが走っている。バスは専用のモバイルアプリでチケットを購入してアプリ内のQRコードをスキャンするか、現金のみらしい。アプリの評判は非常に悪いが自分はとくにトラブルには見舞われなかった。また、HOPPという乗り捨て型の電動キックボードがかなり流行っていてみんな使っていたが、これも小さな子がいるので未使用。タクシーもけっこうあるかな。車は……まあわりと通ってたりしたが、レイキャビク市内はなかなか歴史を感じさせる建物も多く、少し路地に入るとけっこう道が狭いので、あまり向いていない感じがした。

みどころ。市内の一番のみどころは巨大な教会。ハットルグリムス教会というらしい。かなり大きな建造物で市内からだとわりとどこからでも存在がわかる。正面広場にはレイフ・エリクソンの像があってかっこいい。『ヴィンランド・サガ』のファン的にもなかなかよい。教会は上のほうにも登れるようだった(有料のエレベータがある)が自分は登らなかった。

あとはいくつかモニュメントというか、おもしろいアートがそこそこあったり。

サガ博物館や鯨博物館もあったりした。鯨博物館のほうには入ってみたが、なかなか楽しかった。

食事。アップスケールでモダンなレストランと観光客向けっぽい店と現地民向けの店といろいろあった。アップスケールな店だと Fish Company。トナカイのカルパッチョとかを食べたけど美味しかった。

地元民も観光客にも人気なのがホットドッグ。とくに Bæjarins Beztu Pylsur というチェーンが人気のようだった。ラム肉のソーセージが美味しい。売り場の近くのテーブルにはホットドッグ専用トレイが設置されていた。

ちなみに近隣のカモメが虎視眈々と狙っているようでちょっとおっかない。

宿の近くにフードコートがあって、そこでもいろいろ食べたり、観光地でも食べたり。よくあるのがフィッシュ・アンド・チップスとスープ。アイスランドは漁業が盛んとのことで魚は新鮮で美味しい。フィッシュ・アンド・チップスもカリフォルニアのそのへんのものより美味しかった(日本のレストランのも美味しいかもだけど……)。スープはアイスランドの伝統的な料理?なようで、けっこうあちこちで頼めた。ラム肉とにんじん、ジャガイモ、キャベツなどの野菜を煮込んだ素朴なスープなんだが滋味深く美味しい。ラム肉の匂いはかなり強いので苦手な人はきびしいかもしれないが、自分は大好きな味だった。シンプルな料理なので帰国後に自作もできそうな気がするがどうかなぁ。

現地民向けとおぼしき店ではイタリアンと、なぜかタイ料理屋をいっぱい見かけたが、さすがにそういう店には入らなかったので美味しいかどうかはわからない。

あとコーヒー。コーヒーはわりとどこで頼んでも美味しかった。Reykjavik Roastersというチェーンと、Te&Kaffiというチェーンが多く、特に後者が多い。スターバックスなどの海外チェーンは見かけなかった。

あと子供向けのチョコレート牛乳として、この koko mjolk という製品がほんとうにいたるところで売られており、子供がたくさん飲んでいた。

Google翻訳してみたら「50 ara」は「50周年」の意味らしい。めちゃくちゃ昔から愛されているようだ。

最後に、パン屋で見かけた風景。

アイスランドにいってきた

夏休みということでアイスランドに一週間ほど旅行にいってきた。

そもそも3年半くらい前、アイスランドにいきたいね、という話をしていたことがあった。友達夫婦と私のところとの4人でその機運が高まり、行くことを決めて、いろいろ予定を調べたり行きたいところを考えたりして、いろいろ予定を立てたり、airbnbの部屋を調べたり、航空券を手配したりした。確か、島を一周するような予定だったように思う。ただ3年半前というのは2020年の話。そのあとCOVID-19パンデミックになってしまい、当然ながら海外旅行なんてできなくなってしまった。航空券なども自動的にキャンセルされてしまった。

が、この航空券のキャンセルのとき、焦って操作を間違えた結果として払い戻しではなくてバウチャーの発行を選んでしまったのだった。数千ドルのお金、払いっぱなし。まぁいずれ行けたら行きたいから別にバウチャーでもいいけどさ……と思いながら3年が過ぎた。3年たっていろんなことが起きた。うちの夫婦にも子供が生まれたりした。そんなあるとき「そういえばあのバウチャーってどうなったの」と妻に訊かれて、そういえばどうだったんだと見てみたら有効期限は3年。その会話をした月の月末で失効するところだった。あわててそこからとりあえず日程だけを決めて航空券を手配したのが、この夏のことだったという次第。

子供も小さいし初めてということもあり、3年前の予定とは違って攻めた日程は組まずに首都レイキャビクにairbnbを予約してそこに滞在しつつ、市内を散策したりツアー参加したり日帰りであちこち行ったり、といった感じの旅行になった。

アイスランドにはサンフランシスコ・ベイエリアからは直行便がなく、アメリカ国内の経由地からの旅行ということになる。今回はシアトル経由便で行くことにした。シアトルからアイスランドまでは7時間半くらいでけっこう近い。ニューヨークからだと6時間ほど、サンフランシスコ=ニューヨーク間と同じくらいである。さすがアイスランド、アメリカ大陸に近い。ニューヨーク住んでたらわりと行きやすい国外旅行先かもなあ。

ただ今回はずいぶんタイトなスケジュールでシアトルでの滞在時間が短すぎてしまい、いろいろ負担が大きかった。だいたい2時間くらいの乗り換え時間の設定だったんだけど、とくに帰りの場合には入国手続もあるし、チェックインする荷物はいちどピックアップして再度チェックインしないといけなくて、時間が足りなすぎた。次から国際線の乗り継ぎのときにはもっと時間に余裕を持たせることにしたい。

いろいろ書いていると長くなりそうなので、具体的な旅先の話はまた別の記事で書くことにして、今日は雑多なアイスランドトリビアで締めることにする。そんなことぐらい知ってるでしょ、という人もいるだろうけど自分はあんまり意識してなくて知らないことばかりでしたので。

  • アイスランドは北欧の国だがEUには未加盟。2010年代に加盟の機運が高まったけど、けっきょく取り下げてしまったらしい。ただもちろんシェンゲン協定には入っているのでEUからの入国は容易。通貨はアイスランドクローネ。1ISKはだいたい1円くらい。
    • 昔は1USD=60ISKぐらいだったのが、2008年に大暴落してこれぐらいまで価値が下がったらしい。
  • 現地の言語はアイスランド語だが、小学生ぐらいの子供も含めてほとんどの人は英語がかなりしゃべれる。旅行ていどなら英語だけで大丈夫。
    • アイスランド語は北欧系の言語だが、かなり孤立していてノルウェー語やデンマーク語とはかなり意思疎通が難しいらしい。いちばん近いのはフェロー語だそうだ。わたしみたいな人間には何もわからない。
  • アイスランドの島の大きさは北海道と九州を足したぐらいの大きさらしい。人口約30万人。そのうち2/3にある20万人ほどが首都レイキャビク都市圏に住んでいるとのこと。
    • 小さい島である、という表現がなされているし決して大きな島ではないが、北海道より大きいというのはかなりの大きさだと思う。なお北海道の人口は500万人ほどなので、北海道と比べても遥かに人口密度は低い。都市部以外にはほんとうに何もないことがよくある。
    • ウィキペディアによると、島はもっと森林が生い茂っていたのに入植者たちがバンバン切り倒し、羊が草をたべまくり、ほとんど森のない荒涼とした土地になった、などと書いてあるが、これも北海道よりも広い島だと思うとマジか人間やばいな……という気もする。
    • しかし、火山周辺などはさておき牧草地はけっこうあり、荒涼としているのは場所にもよるのでは、という気もする。森っぽい風景は確かにぜんぜんない。
  • 火山島なので火山や関連した風景がけっこう多い。実はわたしが行ったのの1ヶ月ほど前、7月にも小規模な噴火があったらしい(我々が行ったころには沈静化して収束宣言がなされていた)。
  • クレジットカードの支払いはかなりどこでもできる。現金はまったく使わなかった。コンタクトレスペイメントも発達していてめちゃくちゃ便利。ただAMEXが使えないことが非常に多かった。
  • アルコール販売はけっこう制限されており、アルコール度数が2.25%を越えるものは政府が運営するリカーショップでないと買えない。しかもそのショップは午後6時には閉まる。酒税が高いので買えても値段はかなりする(らしい、けっきょく行けなかったのでわからない)。なのでホテルなどの部屋でお酒を飲むのはちょっと大変。慣れた観光客は空港の免税店でお酒を買って持っていったりするらしい。もちろんレストランやバーなどでは普通に酒は飲めますが。

まぁひとまずこんなところで。